2025年7月号 2025ｼﾘｰｽﾞΩ3『まず「私」から始めよ…フッサール現象学の挑戦』

関西ヌーソロジー講座2025

「4次元は目の前に」～意識の位置を問い直す全11回の旅

第3回：Ω3（水星）の巻

テーマ：まず「私」から始めよ･･･フッサール現象学の挑戦

～「主観への徹底」が導く先、「間主観性」の落とし穴とは？～

◆ 科学では語れない“意味の喪失”とフッサールの警告

数値化・測定化された「ガリレオ的自然」は正確だが、どこか空虚で無機質。フッサールは『ヨーロッパ諸学の危機』で「科学は世界の意味を語れない」と告発し、“生活世界”を取り戻すため、哲学史上かつてない「主観への徹底」に踏み出しました。

◆ 今回の気づき･･･フッサールへの誤解を超えて

これまで私は、デカルト～カント～フッサールと進んだ流れを『「人間の内面」を方向付けた元凶』として理解してきました。しかし今回の準備を通じて、フッサールの挑戦はむしろその逆であったことに気づきました。

カントもフッサールも、そもそも「主観」を守ろうとしたのです。「客観」優位から「主観」優位へと。

それが、後世において実証科学の枠組みに乗っ取られ、いつのまにか脳内表象や情報的自己モデルに収束してしまった……。

その切なさと悔しさ、そしてフッサールの高貴な動機と決断を、初めて実感をもって受け止めることができました。

◆ 主観への徹底こそ、継承すべき精神

ヌーソロジーはフッサールを批判する立場に立ちます。

実際、ヌーソロジーが歩む道はハイデガーと呼応しており、彼はフッサールから離反した元・愛弟子でした。両者は方向性を違えたのです。

しかしそれでも、フッサールの意図を真摯に受けとめ、引き継ぎ、徹底して押し進めなければならない。

それが「主観への徹底」であり、ヌーソロジー提唱者・半田氏の言葉で言えば「まず他者なき世界へ」と響き合う精神なのです。

◆ ヌーソロジーによる跳躍･･･“見る私”から“映す私”へ

現象学が閉じ込められた〈内面回路〉の牢獄を超えるために、ヌーソロジーは〈外面回路〉への転回を提案します。

“内の内”は実は“外”であり、それが「前」に現れる精神＝物質の領域･･･。

そして･･･「私とは鏡である」という転回へと到達する、その決定的な瞬間を本講では共有しました。

今回は、補足スライドつきの解説トーク（約60分）が収録されており、大作となっています。手前味噌ではありますが、後世まで残したい作品です。是非とも手に取り、体験して頂きたく思います。